映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

新藤兼人監督「竹山ひとり旅」489本目

新藤兼人監督作品を見るのは久しぶり。
この監督は、ドキュメンタリーではわりと冒険するイメージがあります。
斬新な手法をとる。
「竹山ひとり旅」では、竹山本人が冒頭と最後に出てきて演奏するけど、途中のフィクションの部分は演じるのが林隆三で、無頼な竹山とは違った、やわらかい印象です。

小さい頃から描かれているけど、中心になるのは青年期。最初の盲目の妻と、通りすがりの女たちと、二番目の盲目の妻と、すべての女たちの上に君臨する母=乙羽信子

理屈じゃなく、なんとなくみんな人がよくて、悪い奴もいるけど、なんとなくみんなが助け合う世界。
自分がもし盲目で、一人で東北を芸だけをたよりに旅するなんて、想像もできないくらい不安でいっぱいだけど、そうやって暮らしてた人がたくさんいたんですね。ちょっと憧れもする。
「ボサマ」って「お坊様」がなまった言葉で、お金がなくて托鉢してるけど、敬うベキ存在だと思われていたんじゃないか?と思いました。