映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マイケル・ウィンターボトム監督「ひかりのまち」492本目

あー、ロンドン好きにはこたえられない。
ナディアの髪型がキュートでオシャレ。この子になってロンドンでウェイトレスしたい。広告カメラマンの彼とデートしたい。仲のいい姉妹たちとカフェで愚痴を言い合いたい。

ロンドンには不安や憂鬱がつきもの。曇りの日が多いし緯度が高くて日照時間が少ないから(だと思う)。
そういうことや、ぬるいビールや早く閉まっちゃうスーパーや、もろもろの不便のすべてを勘定に入れても、やっぱりロンドンって町はぎゅーっときます。

登場人物がたくさんいて、エピソードもたくさんあるのに、なぜか長く感じる映画です。
つなぎに入る、やさしくてちょっと切ないBGMが、すべてをやわらかく包むかんじ。

この監督の作品は「日陰の二人」をたまたま時差ぼけのロンドンのホテルのテレビで見たことがあります。「ファニーゲーム」を超える後味の悪さ。「ひかりのまち」はやさしい映画だけど、安易なハッピーエンドの夢は見せません。相も変わらず、だけど、それでいい。っていう映画です。