映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

山本薩夫監督「白い巨塔」541本目

大人になってから初めて見た田宮次郎が「悪名」で、口ばっかのチンピラがあまりにハマり役でびっくりしました。
むしろ「白い巨塔」のイメージだ、とか思っていたのですが、今見るとこの板についた関西弁、知性も美男子っぷりも大層なもんだけど、欲や嘘がにじみ出るようなこの姿が、インテリやくざと重なっていきます。
…カッコええなぁ…。愛人の小川真由美は奔放でチャーミング、妻の長谷川待子もしっとりと美しい。
マジメすぎるもう一人のエリート医師を演じてる田村高広も、目がきれいで素敵です。
この映画、キャスティング勝ちだなぁ。。。

病院ドラマってすごく多くてわりと見慣れてるんだけど、この関西弁がなんかすごくいいですね。関西の俳優さんたちを使ってるから、しゃべり方がリアルでみょうに現実味が感じられる。

りっぱなお医者さん、だと思っていた人たちは、まったくくだらなくて汚い派閥争いに終始。
公職選挙法が関係ない内輪のことだから、賄賂やら取引やら。
ドキュメンタリーとかルポルタージュにすると生々しすぎるから、ドラマにしたのかな…。

(でも、リアルというより、ものすごく乱暴に“手術”されてるあの“患者”は、きっと豚さんじゃないかな…。)