映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デイヴィッド・リーン監督「アラビアのロレンス」546本目

ベン・ハー」みたいな史劇かと思い込んでたので、冒頭イージーライダーみたいなのが出てきて「えっ」と思いました。(それはもしかして、タイトルからローレンス・オリビエのハムレットか何か連想してたのではないか)
考えてみれば、「インドへの道」は公開時に劇場で見たので、同じ監督の作品がそんなに昔のはずもないんだけど。

すごくあっけない事故から始まり、みんな彼のちょっとした悪口ばかり言ってる…という、ずいぶんちっちゃなスタートが、マッチの火を吹き消した後から急にカメラが壮大な大自然に飛び込んで、地平線の果てまで続く砂漠の世界へ。

砂漠での軍人生活は、とても“大英帝国”的で、一見気さくなロレンスと地元の人たちの溝は深いです。なんだか前時代的。しかしアラブの人たちの争うやりかたは、この頃も今も変わっていない部分があるな…とも感じます。繰り返すしかないんだろうか。この原作の頃には、民族間の争いに加担していたのはアメリカよりイギリス。現場の最前線にいれば、この気持ちがわかるはずだけど、本国で指令を出すだけの人たちが、同じことを続けてる気がする…。今この映画を改めて見る意義ってあると思う。

この人の映画は、当たって砕けて散る感じだなぁ〜。長過ぎるけど、超大作ではありました。