映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ナンニ・モレッティ監督「ローマ法王の休日」549本目

以前フランス人やイタリア人と話したときに、ブラックユーモアきっついー!笑えねー!ってびっくりしたことがあります。だからこの映画も多分、ローマの映画館ではワッハッハって笑いながら見るのかもしれません。(私は笑えないけど)

実際、法王って何度も選挙を繰り返してやっと決まることってありますよね。
その裏で、決まった人がこの映画のように重圧に耐えかねるという想像もできます。
世界代表バレーボール試合がバチカンで行われているという想像もできます。

泣いても笑っても、カトリック世界の頂点が他選で決められてしまうのは事実で、名誉欲のない純粋な求道者こそ、その責任をもっとも重く受けとめるのでしょう。
結局は戻ってくる、けれどやっぱり無理。
法王が聖人ではなく、こんなに率直な一人の人間だったらどうだろう?
ダライ・ラマも似たところがあると思うけど、一個人にそこまでの重圧を与える仕組みに対して、カトリック世界の人たちが持っている疑問のはけ口を作った映画だったのか、と思います。