映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スコット・ヒックス監督「シャイン」560本目

よくある家族の葛藤かもしれない。
親の過剰な愛情や期待 vs 神童の繊細さ で、負けるのは常に小さく弱いほう。
世界中の人がみんな自己実現しようとしたら、ぶつかり合うのは当然だ。
ぶつかり合いながら、運や不運に左右されながら、それでも自分が生まれて来た意義を、少しでも果たそうとする。
デイヴィッドがピアノを取り戻したことが、本当に嬉しい。どこでどうピアノを弾くか、誰にどう評価されるか、なんてもともとどうでもよかったのかもしれない。

そういうことを、優しい目で見て描いた作品。
父親の脅威も周囲の目も、デイヴィッドが青い空の下で見せる笑顔でフェイドアウトしていくようです。
いい監督だなぁ。そしてジェフリー・ラッシュの演技はもう、本人そのもの。素晴らしい俳優さんですね…。

ところで主人公の天才ピアノ少年は、マンガ「名探偵コナン」のモデルになったのではないか!?似すぎてる。
天才的な才能と、寒々しい天候と、この子のスキップが、なんだか物悲しかったです。