映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

エリア・カザン監督「ブルックリン横丁」563本目

1945年の作品。
原題は「A Tree Grows in Brooklyn 」。ブルックリンってエリアの名前だから「思い出横丁」のように「ブルックリン横丁」ってのはちょっとヘンではありますが、当時の日本では、貧しい町で助け合う人たちの様子が「横丁」という言葉だけで伝わったのかもしれません。

貧しいといっても、ドヤ街のような感じはまったくなく、現金がなくても常に身ぎれいにしているし、お母さんはずっとキビキビ働き、お父さんは歌手だし、よい家庭の暮らしという感じです。でも実際は子供たちを学校にやる充分な余裕もない。

描かれているのは、そんな家の母と、まだ幼い娘の葛藤です。父の死を巡って一度は対立するけれど、やがてそれぞれの想いを理解して、家族として一つになっていきます。
もう少しさらっとハッピーエンドなお話かと思ってたので、思ったよりはヘビーでした。