映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ルイ・マル監督「鬼火」567本目

表現の幅の広いルイ・マル監督ですが、これは「死刑台のエレベーター」の世界に近いです。
「死刑台」の音楽はコルトレーン、こっちはエリック・サティ、と、いやになるくらいセンスがいいです。
そしてハンサムで神経質な主役に、同じくモーリス・ロネ
今回は愛人が、怖い顔のジャンヌ・モローじゃなくて姉のように優しいベルナール・ノエル。

見ているこっちも追いつめられて行くような感じ。精神的にまいってるときに見たりしたら、あっちの世界に一緒に持ってかれそうです。ずっと鳴っていて誰も出ない電話とか。優しいのにそばにいてくれない愛人とか。

“終わってる”感じの最後のメッセージとくらべて、直前までのアランがチャーミングすぎる気がしました。あんまり終わりすぎてると、わびしい映画になっちゃうけど…。