表現の幅の広いルイ・マル監督ですが、これは「死刑台のエレベーター」の世界に近いです。
「死刑台」の音楽はコルトレーン、こっちはエリック・サティ、と、いやになるくらいセンスがいいです。
そしてハンサムで神経質な主役に、同じくモーリス・ロネ。
今回は愛人が、怖い顔のジャンヌ・モローじゃなくて姉のように優しいベルナール・ノエル。
見ているこっちも追いつめられて行くような感じ。精神的にまいってるときに見たりしたら、あっちの世界に一緒に持ってかれそうです。ずっと鳴っていて誰も出ない電話とか。優しいのにそばにいてくれない愛人とか。
“終わってる”感じの最後のメッセージとくらべて、直前までのアランがチャーミングすぎる気がしました。あんまり終わりすぎてると、わびしい映画になっちゃうけど…。