映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

阪本順二監督「KT」575本目

2000年代、わりあい最近作られた映画です。
大統領の亡命、拉致監禁、暗殺未遂なんていう政治的大事件が、このぬるま湯のような国で実際に起きたというのは大層なことで、そりゃ映画化したくなるでしょう。

阪本順二監督の映画はかなり好きだけど、この映画に関しては、男のドラマを描きたかったんだろうな、政治より、という印象です。韓国で作られた映画のような、緊迫感や命がけの切迫感は感じられませんでした。この事件に個人的な想いを持つ人が見たら、物足りなく感じたのではないかと思います。
主人公の富田が仕事を請け負う理由が“惚れた女のため”、という点こじんまりとしていて、今回はもっと大きな世界を見せてくれるのかな?という期待はあまり満たされませんでした…。