映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリント・イーストウッド監督「パーフェクト・ワールド」599本目

1993年だから、今からもう20年も!前の作品です。
クリントイーストウッド監督、「ボディガード」翌年の、いちばんブイブイ言わせてるころのケビンコスナーが主役。
そうでもなければ、そうとう地味で無常感漂う、カラーなのに白黒だっけと思わせるような、寒々しい映画になったのでは?
パーフェクトワールドっていうタイトルも、皮肉の極北、っぽい寒さ。でも監督が人情派だからか、あったかいものが残るんだなぁ。

弱いものに対する想いが強すぎて、守るための犯罪をまた犯してしまう男。かかわり合う人の中には、「この人はいい人だわ」って気づく人もいるのに、そう思わない人たちが彼を追い詰める。ここで世をはかなんだり、理解してくれない人に私怨を抱いたりするのが日本映画で、愚痴らずに果てることが騎士道だと思うのが欧米、っていうのが私のイメージ。

極北なのに暗くない。温度高めだけどなんの救いも解決も未来もない。そこがアメリカって国の不思議なところだ…。

テレビを録画したのでまた吹き替えを見てしまった(うちのレコーダーには音声を番組ごとに選んで録画する機能はない)。