映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アンジェイ・ワイダ監督「カティンの森」604本目

この監督ってほんとに硬派だなぁ。
甘さはないけど、厳しい状況のなかで戦う人たちの熱さはすごく伝わる。

この映画、見るほうも辛いけど、肉親をこの事件で失った人が監督をするのってどれほど苦しいだろう。この国の人たちがこの映画を作ったことの痛みと苦しみが想像もできない。
この人の映画のクールな美しさは、胸に抱いた怒りと悲しみがもたらすものなのかな。
土をかけられて一瞬ふるえるように動いた指。“まだ生きてるのに”。

どんなに悲惨なことをされても、心を鎮めてここまでのものを徹底的に作り上げることをして、やっと、それ以外の人たちに届くものがあるのかもしれません。

この映画が上映できて、今もこうやって見ることができてよかったと思います。