映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スタンリー・キューブリック監督「フルメタル・ジャケット」658本目

ゾクゾクするなぁ、キューブリック

最高に胸くそ悪い、マッチョで下品なのにみょうに端正で説得力のあるハートマン教官。
デブで運動神経のにぶいパイル、いじめられて目がどんどんイっちゃって、予想できた結末を迎える…でもここまでで、わずか30分。

そこからは、割と、ベトナム戦争の映画としては普通で、従軍記者になったジョーカーが、ペンを持ったりライフルを持ったり、女に誘われたり殺されかかったりする、戦場の日常がわりと淡々と流れて、終わる。

エロい話や「ミッキーマウスの歌」、もうすぐ結婚するの〜♪という他愛ないラブソング…そういうのを歌いながら死体を片付けたりするのが、また胸くそ悪いんだけど、冒頭の教官が強烈すぎて後半はスナイパーの正体以外あまり印象に残りません。

でも冒頭30分だけでもいい。あの顔、「シャイニング」と同じだったなぁ。キューブリックがあの顔をして、それぞれに演技指導をつけたのかと思うと愉快です。