映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

山田洋次監督「東京家族」664本目

蒼井優の髪がまだ長いので、けっこう前の作品かと思ったら、2012年でした。
いつものように、前情報なしで見始めて、(これはいわゆる、小津安二郎東京物語」への”オマージュ”とかってやつだろうか)と思っていたら、「東京物語の”リメイク”です」とのことでした。潔い!

実際、今の日本だったら…という当てはめが、なるほどと腑に落ちます。
日々のしごとに追われて、ともすると親に辛くあたってしまう二女も、心が冷たいということでもなく、あれも人間、これも人間、と感じさせます。…かなり恵まれているほう、なんじゃないですかね、実際。

蒼井優演じる末っ子の婚約者と、赤の他人である隣人の家の女の子が、やもめになった父を助けるんだけど、人の世話をするのって「重荷」だけじゃなくて、自分を必要としてくれてる人がいて、助ければ喜んでくれる、というところにいるのっていいなと思います。そういう喜びを思い出せよ、とこの映画に言われたような気がします。

押し付けがましくも、説教臭くもない、いい映画でした。