映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

シドニー・ポラック 監督「追憶」676本目

1973年のアメリカ作品。
反戦反核!な女性の、強さを愛し、負けた男。
と書いてしまうとつまらない映画みたいだ!そうじゃなくて、彼女は、ケイティ(バーブラストライザンド)は、とってもホットで魅力的なんです。彼は、ハベル(ロバートレッドフォード)は、彼女のことをずっとずっと愛し続けているのです。
「僕たちは、うまくいかない」と別れたけど、愛しさは変わらないのだ…と、ラストシーンで感じさせました。
女を捨てた男の未練というか、申し訳なさなのかもしれませんが。

ラブストーリーって時代を超えて普遍的なものだと思うけど、戦争ってものを経ることは、平和な時代だけが舞台なのとは確かに違うと思う。穏やかな物書きのハベルは戦争に行って帰ってきた。行く前も帰ってきてからも、彼は普通っぽさが身上の男。戦場に行ったこともないのに声ばかり大きいケイティが、だんだん可愛く思えなくなってしまったのかな。

別れた夫婦が10年後とかに会って、あんな風にぎゅっと抱きしめ合えたら、いいと思う。一緒にいた時間も、別れてからの時間も、スカスカじゃなかった、って思える。

しかし「ビフォーサンライズ」シリーズなら、それでも二人でいようと、もっと努力しただろうに。あの映画の彼女も、ケイティみたいな運動家で、彼は物書きなんだけどなぁ。人の気持ちは移り変わるとわかっていても、ずっとずっと続く温かい関係を、求めてしまうものですね。