映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロバート・ワイズ 監督「サウンド・オブ・ミュージック」680本目

歴史に残る、このオープニング。
神の視点のようなカメラが、無音のまま美しい山々をゆっくりと俯瞰し、ある山の中腹に一人の若い女性を見つけると、彼女は手を広げ、空を見上げて、私たちの感動を代わりに吐き出すように、歌い始める。
言葉にならないくらい、ここで胸を打たれます。

テーマ曲や「ドレミの歌」だけでなく、I am 16とか、「JR、東海」の曲とか、エーデルワイス、本当に名曲ばかり。気取りやの子どもたちは最初からとっても可愛くて、お堅いお父さんも”変な笛を吹いてる”ところが笑える。

この作品との出会いは、22年前にロンドンでミュージカルを見たのが最初。ストーリーは、「歌が好きな家庭教師がお堅い家庭を明るくする」としか知らなかったので、けっこう衝撃を受けた記憶があります。

このお堅いけど歌のうまいお父さん、クリストファー・プラマー、まさかの「ドラゴン・タトゥー」のヘンリック・ヴァンデルだったり、「ビューティフル・マインド」のお医者さんだったり、「Dr.パルナサス」だったりするとは。端正だけど、少しだけひねくれた感じの、そのひねくれた部分の方をどんどん演技に生かしていったんですね。

映画はミュージカルよりマイルドな終わり方で、彼女をいつも”呼んで”いた美しい山々が彼女たちを優しく守ってる、と感じさせます。

長ーい映画だけど、ジュリー・アンドリュースと子どもたちの無垢な表情を見つめていると、あっという間です。
親だったら、堂々といばって子どもたちを連れて行きたい映画。だから大ヒットしたんだな〜。