映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウール・グロスバード監督「恋におちて」687本目

メリル・ストリープロバート・デニーロ
見る前は、デニーロがこんなスイートな恋愛映画に出るなんて!と思ったけど、どの映画でも彼は役の中でステキな女性に恋をしてましたっけね。まったく違和感のない、情熱的でチャーミングな恋愛でした。
といっても、人を好きになってしまったときはまるで少年少女と同じですね。この映画では、置いていかれる彼女の夫、彼の妻には感情移入しなくてすむようにうまく誘導してくれるので、大人の恋をしてしまった気持ちで、楽に見られます。

それにしてもデイヴ・ブルーベックの音楽が不釣り合いなほどクールすぎてちょっと違和感すらあります。ジャズバーに集うような男女じゃなくて、恋をしてしまったことに戸惑う普通の人たちの物語だもんね。

メリル・ストリープは、「クレイマー・クレイマー」から自然な流れで、美しく揺らぎやすい既婚女性という役。彼女の気持ちの素直さ、彼の気持ちの熱さ、すんでのところで踏みとどまる理性とかがあるから、インモラルな感じのない映画にしあがっています。見終わったときの気分が爽快でした。