1967年の作品。ベトナム戦争は1960年頃から75年まで続いたそうなので、その真ん中あたりで作られたものです。
フランスは確かにベトナムからはるか遠いところにあるし、この戦争はソ連・中国/アメリカの冷戦対決だったのだと思うけど、それより前にヨーロッパからやってきてベトナムを支配してたのはフランスだ。フランスがベトナムを植民地化していった1940年代を、1922年生まれのアラン・レネや1930年生まれのジャンリュック・ゴダールはずっと見て来た。だから他人事として目を背け続けることができなかったんだろう、と思います。物事を映像で捉えて表現する映画人として。これは、3.11を題材にしたり、取り入れたりした映画を作ったたくさんの日本の監督の心情とも通じるものなんじゃないかと思います。
映画自体は、ドキュメンタリーでもあるけど、「コラージュ」ですね。キャンバスに布を張ったり、砂を貼付けたり、6人もいる監督がめいめいの思いをそれぞれの表現方法でフィルムにしたので、全体としてはなんだかよくわからない不統一なものだけど、真剣なそれぞれの思いが伝わって来ます。決して奇をてらって、いろいろな表現を使っているのではないことが。
そういう意味で、思ったより”難解”という印象ではなく、興味深く見ることができました。