何度もポロポロ泣きながら見たんだけど、その半分かそれ以上は、映画を見ることで、自分が今まで生きてきたことがよみがえってきたからで、そういう割合は年を重ねるほど多くなってくるもんだと思う。
ボケることもいつか死ぬことも、年を取ってくるとだんだん怖くなくなるし、何があってもその人の本質は変わらないということもわかってくる。苦労して生きてきたペコロスさんのお母さんの素晴らしさは、ちっとも薄れなくて、昔より静かに暮らしていても、こぼれ見えてくる。
ペコロスさんは描く絵が可愛いらしいし、作る歌は最高にバカバカしくてよいです(昔「セメントミキサーズ」ってバンドがあったのを思い出した)。第一ペコロスって名乗るところが、なんか可愛くていい。
自分に想いを向けさせる映画の善し悪しを言うのは難しくて、「泣けたからいい」のか、たまたま自分と近いから共感できただけなのか、わからない。
でも、認知症の人の描きかたとして、だんだん頭の中の世界と外の世界がつながってきて、楽しかったことを何度もまた経験したり、ときに悲しかったことをまた悲しんだりしながら、少しずつあっちの世界に溶け込んでいく…という感じをもっているので、この映画には共感できました。