映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランク・ダラボン 監督「ショーシャンクの空に」746本目

映画を見始めた時期は、どれを見ても新鮮な感動があって、毎日楽しかったけど、最近は最後まで見る前に飽きてしまうことが増えてました。そんな中で久しぶりに、あらゆる面で本当にいい作品だったので嬉しい。

主人公アンディの寡黙で冷静な個性がとてもおもしろい。モーガン・フリーマンはいつものモーガン・フリーマンなんだけど、必要な役どころです。

無実であることを必要以上に感情的に描くこともなく、アンディを無傷で無謬のヒーローだということもない。彼は汚れながらも生き延びて、与えられた枠のなかでできる最大のことをやり続けます。

あんな大きな穴が見つからないわけないだろ!とか、独房でも部屋の移動とかあるだろ!、聖書あそこまでくりぬいてバレないなんてないよ!とか、いろいろあるけど、それでもギリギリ映画視聴者心理学的に(?)信じてもいいかな、という線上です。所長の汚職を暴くときに、架空の口座の持ち主がバレて、その名前で国境を越えたあとにまたパスポートを作るのも難しいんじゃないか。とか。
でもやっぱり、映画のなかでは逃げ切ってほしかったから、よかったです。

アンディがおそらく匿名で告発したのは、所長の汚職とトミーの殺人だけで、自分自身の無実のことは言わなかったのかな。脱獄事件とこの告発はリンクされることなく、所長以外の所員たちが無料税務相談をずっと受けていたことは闇に葬られたのかな…。

脇役たちもすばらしかったです。カラスの子を育ててた図書館員のブルックスにもすごく感情移入しました。
悪徳所長も名演技でした。
USって国は層が厚いな…。