映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ゲオルギー・ダネリヤ 監督「不思議惑星キン・ザ・ザ」752本目

この映画おもしろすぎる。
たいがいのアメリカ製のコメディより爆笑できました。
南の国から来たバナナの箱の中に入ってた猿といわれて、チェブラーシカを想像する国の人たちですから、世界観の違和感は半端ないです。「めずらしいものに出会う」という映画の楽しみの極致。こういうのに出会えるから映画はおもしろいのです。
週末に「アシク・ケリブ」「スラム砦の伝説」「ホドロフスキーのDUNE」「ひなぎく」と力入れて4本も見たのに、そのあとなんとなくレンタルしたこの映画が一番脳裏に焼き付いてしまいました。

制作は偉大なるモスフィルム様(←なんとなく尊敬している)。
グルジア人(パラジャーノフのおかげで、なんとなく風貌でわかるようになってきた)の学生くんは子どものようでなんか可愛い(なんとその後映画監督になったようだ http://www.starslife.ru/2011/02/17/vykrutasy-privezli-v-peterburg/)。一方の建築エンジニア氏は、すごく実在感があって、仕事ができそうだけどちょっと上から目線だったり、相手によって態度を変える、どの会社にもいる普通の男性。

高度な文明をもつ異星人が一見浮浪者のかっこうで登場し、キンザザの人たちもみんなそういうルックスをしているというおかしさ。ガッチャンガッチャンとうるさい、油を注して使う古い機械みたいな移動装置。鼻に鈴。変なあいさつ。クーとキューしかない言葉。砂漠のマンホール穴から人が出てくる。極めてありふれた成分でできたマッチをダイヤモンドのようにありがたがる。意外性に次ぐ意外性。ロシア人ってなんておもしろいんだろう。世界中の国々の、それぞれお国柄が現れたコメディをみんなで見たら、戦争なんか絶対起こらない気がする…。

カルト映画のなかでもマイナーなほうだけど、これ見せてみて爆笑する人とは友達になれる、というテストに使えそうです。