映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ルイ・マル監督「プリティ・ベビー」756本目

この手が好きな人には堪えられない映画でしょうね。
12歳のブルック・シールズは、あどけなく崇高に美しいです。
ただ、同年代で同じく少女娼婦を演じたジョディ・フォスターのようなプロ意識や成熟が彼女には感じられず、”普通だから良い”というのがこの映画の彼女の魅力です。

普通の子が普通に売春をして、それほどマニアにも見えない大人が彼女の「水揚げ」に大枚をはたき、普通に子どものまま結婚して、最後にいきなり普通の素人の女の子に戻る。そういう時代のおかしさと、そういう無理矢理作られた枠の中で輝いていた少女の美しさを描きたかったのかな、監督は。映画全体を見終わった感想は「で、何を言いたかったのかな」という感じです。

それにしても、ルイ・マル。「死刑台のエレベーター」、「地下鉄のザジ」、「五月のミル」しか見てないけど、冗談みたいに作風がバラバラです。この映画を見て、ますます錯綜してしまいます。彼のアメリカ進出はいったい、成功だったのでしょうか?