映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スティーブン・スピルバーグ監督「プライベート・ライアン」760本目

これは、見ておくべき映画だな。
アメリカで作られた戦争映画をこのところ何本も見てきたけど、実際はどれくらい人が死ぬんだろうとか、弾がどこに当たっても死ぬんだろうか、手当はしてもらえるんだろうか、どれくらい痛いのか辛いのか、といったことが全然わからなくて、もどかしいような気持ちがずっとありました。映画で味方側として描かれている、その撃たれると痛い若者たちが、どのように人を殺すのか。ときどき死ぬのか、皆殺しなのか。

この映画は、若い兵士たちが、痛い、怖い、つらい思いを押し殺してずんずん前進して殺戮を続ける現実を、隠さないと決めて撮ったようです。
4人の息子のうち上の3人の戦死が判明し、末っ子を無事に故郷に返そうという決断が下される。
そのために組まれたチーム6人のうち、1人が倒れ、また1人…。誰のための何を守る戦争なのか?

最初と最後に登場する、老人となった兵士。最初はリーダーかと思ったけど、違った。
この部分が余計なんじゃないか、という気もしなくもないけど…でも、ストーリー上余分だったとしても、あまりにもリアルでキツいテーマを、少しでも平和な日常に近づけてくれて、少しだけほっとしたのは確かです。

戦いたいとか人を殺したいと思う人たちというのが、私が思ってたよりたくさん存在するんじゃないだろうか、と最近ときどき思う。そして逆に、平和を切望する人たちは、戦争を始める人たちを殺すことができないから、戦争はなrくならないんじゃないだろうか?「断固反対!」と少しでも多くの人が訴えることで、少しでも効果があるんだろうか?

アメリカの戦争映画の変遷って、なかなか興味深いなぁ。