映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランソワ・トリュフォー監督「華氏451」768本目

すごく面白かった。
華氏911と間違えて録画したなんて、もはや誰にも言えません。(書いちゃったよ)

「私はエミリー・ブロンテの『嵐が丘』です」
「僕はサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』」
などと名乗る”ブック・ピープル”というアイデアに参りました。
活字は01の記号だから、データ化がかんたんで、人間のメモリーに保存したものを音声化して公共の場で出力することができる。

そこは、禁書だけじゃなくてあらゆる書籍が禁じられ、すべてはテレビで流される情報だけに集約されている、きわめて強い政府の管理下にある世界。ただしこの映画が撮られたのは1966年。レイ・ブラッドベリがこの本を書いたのは1952年。21世紀の私たちは、人が本を読まなくなった(あるいは売れなくなっただけ?)と言って嘆いてばかりいます。

焼かれる本が「監獄日記」とか「ロリータ」とか、それなりに焼かれる理由が「あは〜ん」とくるものばかりなところが、またくすぐられます。

登場人物の無愛想さにもしびれる。これだからイギリス映画は好きだ!