映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デイヴィッド・リンチ監督「エレファントマン」794本目

これも昔から知ってたけど見てなかった映画。わくわく。
デイヴィッド・リンチ作品は「ブルーベルベット」は公開後わりとすぐに見たし、「マルホランドドライブ」は最近急に映画をたくさん見るようになったきっかけになったほどハマった。
この映画は、監督のメジャー最初の作品ということらしいけど、やけに若いアンソニーホプキンスにはアクがまったくなく、いやらしいほどの舞台設定もなく、題材以外はやけにさらっとした映画だなあと思いました。わざと古めかしく白黒で作ってあるところには惹かれました。

この映画がすごくヒットした理由は、よくできているということもあるだろうけど、やはり題材の”怖いもの見たさ”が最大のファクターのような気がします。

彼の前に、あるいは後に、エレファントマンは存在したんだろうか。
見世物になるなんて、信じられないほどの屈辱だ…と感じるけど、それで結構な稼ぎになっていたとしたら、現代の障がい者のなかに、もしかしたらその方がいいと思う人がいるかもしれない。他の人たちと同じ仕事をしなければならず、自立するのが難しいとしたら。自分だったらどうだろう。体の隅々までさらけ出してセックスビデオに出演することと比べたらどうだろう。こういう問題って、簡単な結論が出るものではないのかもしれません。