映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アンソニー・ミンゲラ 監督「イングリッシュ・ペイシェント」795本目

複雑な構成なんだけど、けっきょく中心にあるのは、夫とラブラブと思われた妻を寝とったせいで、夫のほうも、妻のほうも死なせてしまって、生きる屍のようになってしまった男、ということなんですね?
舞台が砂漠の戦場だとこの映画、サーカスだとシャガールの「アレコ」、ほかにもいくらでも例があげられるテーマでしょう。砂漠というシチュエーションで愛を確かめ合うことや、砂漠の洞窟で死を待つことによって、おそろしくも燃えるような生と凍るような死が背中合わせに生々しく感じられて、このテーマの永遠性が際立つのでしょうね。

そういう私も、胸がぎゅーっと締め付けられてたまりませんでした。
恋愛って、美しいけど怖い。でもそれが人間なのね。