映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャック・ペラン 監督「オーシャンズ」798本目

すごい映像でした。海を舞台にして、あっちの生き物たちに演技指導をしたかのようなダイナミックで生き生きとした映像。カメラの位置決めをしてからイワシの群れを呼び寄せる…なんてことできるわけないか?

製作者がどんな説教くさいことを意図しようと、関係ない、ここではそういうことには興味ない。とにかく黙って見ていたい。
海で生まれて海で死ぬ生き物たちにしてみれば、”陸?なにそれ食えるものがいっぱいいるの?”くらいアウェイなんだ、ということに初めて思い至ったくらいです。極端な言い方をすると、あっちの世界のひとたちも、私たちと同じ人間なんだ、というような感覚。群れをなすイルカたち、ヤドカリやエイの考えや感情まで伝わって来るようでした。どうすればこんな映像がとれるんだろう?

私も3、4泊くらいサンゴ礁のあたりに泊めてもらって、このひとたちと一緒に海の中で暮らしてみたい…などと、まるで海外旅行にでも行くように思ってしまったけど、悲しいかな人間は海の中では暮らせない。その障壁のせいで、海ってのは地球最大でもっとも難易度の高い秘境なんだな…と、目からウロコが落ちたような気分です。