映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マイケル・ウォドリー 監督「ディレクターズカット ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間」807本目

あのウッドストックのディレクターズカット。中古CDショップで見かけたので迷わず買いました。
ジミヘンにジャニスにスライにサンタナ、若くてエネルギーが体の中からほとばしり出ている彼らの演奏。
屋外の陽光の中だからか、見ている私も自然と巻き込まれていって、気持ち良い郊外の風に吹かれているような気分になっていきます。

……という風景は、あまりにも見慣れていて、違和感がない。
ウッドストックフェスティバルが行われた1969年の日本にとっては、信じられない自由の国の光景だったかも?しれないけど、2014年の日本の私たちは、明けても暮れてもロックフェスばかりやっていて、もはや「なじみの風景」になってしまっている。
でも、みんなで裸になって池に飛び込むとか、無料の食べ物を大量に提供して「俺たちは世界一幸せだ」と大声で叫ぶ、というような感覚は、日本のフェスにはあまりない。これは、いまはロックフェスじゃなくてバーニングマンでやってることだ。つまりウッドストックに興った野外ロックフェスは、音楽の部分とスピリチュアルの部分に分かれた、気がする。(重なりもかなりあるけど)

そんなことを考えながら見てしまいました。

それにしても、流行のメイクや服で装わない若い人たちは、時代を超えて同じルックスなので、本当に観客だけ見てるといつのフェスだかわかりません。正直、70年代後半あたりには、これほど日本がフェス大国になるなんて思いもしなかったので、おもしろいなー不思議だなーと思います。