映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ケン・ローチ監督「ルート・アイリッシュ」823本目

ああ〜違った〜
こんどダブリンに旅行するから、ほのぼのとするアイルランド映画を見ようと思ったのは大きな勘違いでした。

(気を取り直して)
バグダッドの最も危険な道は、どうして「route irish」って呼ばれるんだろう?
その紛争地帯に民間軍事会社から派遣されてきた派遣軍人の一人が命を落とす。
その友人は彼の死の原因を追う。
軍による民間人の狙撃。何がそうさせるのか、それを告発しようとする者に、誰が何をしたのか。

なんとなく、骨になる部分のない映画で、どこをつまみ上げても悲惨な戦争ってものを浮き彫りにする一方、誰の視点で見てもなにも解決しない。その虚しさを中心に据えている、というほど腹を据えた映画という印象でもない。ぼんやりと悲惨な映画なのですが、そういうのが現実なのだと訴えているのかもしれません。

人が当然のように人を殺す狂気を戦争って呼ぶのか。
でも、自分で手を汚さずに将棋の駒みたいに人の命をあやつろうとする者ほど悪い者はいないよな・・・。