映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ビレ・アウグスト 監督「リスボンに誘われて」874本目

ギンレイホールでみました。面白かった!
若干、閉所恐怖症で、映画館ではもぞもぞしてしまう私が、最後まで集中しました。(小学生並・・・)

ポルトガルには1992年に旅行したけど(リスボンではなくポルト)、そのわずか17年前にこんな革命があったなんて。世界史ほんとに勉強しなきゃと、こういうとき痛切に思います。

この映画のすごいところは、普通というより真面目すぎる中年男性がミステリーに巻き込まれていくことで、見ている人は(私ならもっと好奇心満々かも)くらいの割引つきで、まんまと感情移入してしまうところ。ミステリアスな古い本、赤いコートの女性の行方も正体もわからないまま、リスボンっていうユーラシア大陸の端っこへの夜行列車という旅もロマンチックです。

眼科医の女性との出会いもなんとなくありそうだし(彼女がとても素敵)、革命前夜の苦い思い出も、次第に心を開いていくポルトガルの人々も、なんともいえずやさしい。

”本格殺人ミステリー”とは違うけど、この映画のミステリーは本格的。伏線はちゃんとたぐられるし、最後はこの映画が中年男性レイモンの人生を変える旅だったことがわかります。

この映画すごく好きです。こういう旅がしたいんだよな〜。もう一度ポルトガルに行ってみたいです。(同じような冒険は絶対ないって)