映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

成瀬巳喜男 監督「乱れる」940本目

1964年作品。
高峰秀子は40近い大人の女性、対する加山雄三は大学出たての若造です。
冷たい周囲の目と、一度固まってしまった中年女の心と、青い若者の情熱が、かみ合うことなく傷つけ合うという、切ないお話でした。

この二人の組み合わせ、美男美女だけどなんとなく”お似合い”感はなくて、”つがい”になれない悲しさがなんとなく実感できてしまいます。結局のところ、うまくいかないのは周囲のせいではなくて、彼ら自身の心の壁だったのでは…

切ないというより、いたたまれない気持ち。でも透き通った美しいものを受け取った感があります。すごい映画でした。