映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

モルテン・ティルダム 監督「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」954本目

チューリング…。(涙)
天才的な頭脳があって、多大な成果を上げても、コミュニケーション力が低くて同性愛者だったりすると地獄に落とされるのか。人は結局のところ、力や知恵を手に入れるためではなくて、幸せになるために生きるのだと思うけど、「幸せ」に近づけるのはコミュニケーション能力が高い人だけのような気がする。

その能力の低い天才の代表のようなアラン・チューリングを演じたベネディクト・カンバーバッチ。いつもの演技はエキセントリックさにプラスして傲慢さも感じさせるけど、今回はナイーブで打たれ弱い人を演じきっています。(彼はシャーロックしかできない人じゃないんだぞ!という。)
キーラ・ナイトレレイは、頭が良くて鼻っ柱が強い女性の役がぴったり。

…という人間模様も素晴らしかったのですが、あの大戦時の英国の戦略がこんなことになっていたという事実も大きいです。戦争は絶対にやっちゃいけない。でも始めてしまったらどうやって終わらせるか。あっという間に白旗を上げてもいいのか?始めたからには勝とうと頑張るのか?冷静に戦略を立てられずに肉弾戦に持ち込むしかないのかな、この国は。あんな暗号を解いちゃう国と戦って勝てるわけないから、という理由でもいいので、戦争なんてやめてほしいです。