映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アレハンドロ・ホドロフスキー 監督「リアリティのダンス」981本目

うーん、マニアック。
ホドロフスキーのDUNE」もとんでもなかったけど、本当に困った人だ、ホドロフスキーは。
でもこの映画は、「エル・トポ」よりも好きかな。
監督の父を演じる、実の息子のブロンティスがとても良いです。
監督の果てしない自意識が、家族という別の人間たちに分担されて、とっつきやすくなってる。

母を演じるパメラ・フローレスには度肝を抜かれました。息子もたいがい何でもやらされるけど、彼女も映画の限界にいどんでるかんじ。でも、映画とは自分のすべてをその間捧げつくすのだ、と思い切っているようですごいです。

ホドロフスキーの出自、”チリの国境近くの町で生まれ育ったユダヤウクライナ人”って、3つの国々に何一つ共感しあえる点がなさそうで、相当きつかっただろうし、相当ユニークな人間が育つだろうなと思う。というか育ちあがってしまった。息子たちもそれぞれユニークだけど、安心して個性を伸ばしてきたように見えて、屈折を感じさせません。

23年の年月が、監督を丸くした(これでも)ような気もして、ちょっとほっとしました。