映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

テオ・アンゲロプロス 監督「永遠と一日」991本目

なんて素敵なタイトルでしょう。私が映画か小説か何か創作して発表するなら、こういうタイトルをつけたい。
というくらい、長年にわたって惚れ惚れしてましたが、TSUTAYAディスカスでは常に「品薄」。いつになったら見られるんだろう、という作品って店舗に行けばあっさり借りられたりするのでした。新宿店にてレンタル。

明日の長さは、永遠と一日
ギリシャの美しい大きい海に向かって、一瞬と永遠の区別がつかないような穏やかで明るい時間のなかで、老アレクサンドレは妻と過ごした人生を”走馬灯のように”追体験する。
ときに子供の心に戻って、出会ったばかりの少年に執着する。
自分はどうしてそれほど孤独なのかと、悲しみにさいなまれる。
…みんなそんなものなのかな。

妻の深い愛情、その不在。
真剣に考えすぎると、これからのことに悲観的になってしまうんだろうか。
でも、暗い映画ではないです。ミヒャエル・ハネケ愛、アムール」みたいに、美しい日々を思い出して、光の中で人生を終えようとしている。ブルーノ・ガンツ=ベルリン天使の詩の天使、は透き通った目をしていて、人生の美しさを感じさせます。