1968年の作品。
今村昌平の映画みるの久しぶりだなぁ。
いい人には絶対作れない、アクの強い作品を期待したらその通りだったけど、ちょっと、南国の太陽とか空気とかに押されて、人間の奥深いいやらしさは思ったほどは感じられませんでした(どこまでエグいものを期待してるんだ私は)。
音楽が「怪奇大作戦」で怪人が出てくるときみたい。オドロオドロ。当時の前衛音楽だろうか。
「沖縄らしさ」は意外とありません、内地の人間ばっかりで作ったから。
内地の人たちが唐突に連れて行かれた南国でちょっとおかしくなる映画、です。作っている人たちも、作業が緻密じゃなくなってる感じがします。
ヤモリや蛾が群がる電灯にピントを合わせて、その下にぼんやりと見える加藤嘉と松井康子が濃厚にからみ合う場面は、脳裏に残ります。三國連太郎と松井康子の兄妹道行の舟を追う、仮面をつけた異形のものたちという図も印象的だったけど、「地獄の黙示録」のような空恐ろしさは残念ながらこの映画からは感じ取れませんでした。