映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アンドレイ・タルコフスキー 監督「ノスタルジア」1014本目

意外と古い、1984年作品。31年も前です。

一言で言うと、わかりませんって感じです。
映像美といっても、廃墟のような建物が多くて、そういう崩れ落ちかけているものの美を愛する人でなければ難しいかも。廃ビルの壊れた天井からじゃぶじゃぶ雨が入り込んできて溜まっていく、という情景などは、私は本当に苦手です。

ロシア映画って普段なかなか見ないから、俳優さんたちも知らないし、特定の時代を感じさせる服装も風景もない。ただ、ローマの場面に出てくる人たちは、みんな地味なコートを着込んで、目の前で大事件が起こっても静的に立ち尽くしているだけで、まったくロシア人にしか見えない(笑)。遺跡のような建物や温泉らしき池も、ロシア内のローマ遺跡かなという印象。演説シーンは「戦艦ポチョムキン」の大階段みたいだよね。オマージュっていうの?

惑星ソラリス」には割とはまったんだけどなぁ。あの映画のブルーには吸い込まれるようでした。この映画の場合、静かで動きのない場面がとても多くて、そういう場面はついじっと見つめてしまうしかないので、じーっと見ているうちにその中の美を発見してしまう、「スローテレビ」みたいな効果があるんじゃないだろうか。