この映画好きだな。
”子孫を残す”という人類不変の課題を、「じゃあもし残せなくなったら?」という状況を巧みに設定をすることでリアルに深く考えさせます。「天国の口」も「ゼログラビティ」も、目を奪われる面白さだけど、人間ってものを深く深く突き詰めるという点で共通してると感じました。
クライヴ・オーウェンって素敵ですね。日本でいえば役所広司のような、追い詰められた普通の男をリアルに感じさせます。
戦闘シーンは、特に未来っぽい武器など使わずに、今も世界のどこかで行われているような画面。人口は減るばかりなのにさらに抹殺し合うなんてありえないと思うけど、そういうバカなことをやるのが人間なのかもしれません。
そしてこの監督の映画には”希望のかけら”もある。最後の場面でタイトルが表示されて終わる、のもゼログラビティと同じ。それこそが映画のテーマであり結末であり、映画が終わったあとに起こることだ、と一瞬にして見るものに悟らせます。
監督の人間洞察の深さが好きなんですよね。ラテンアメリカの作家や監督ってそういうものを持っている人が多くて惹かれます。地味かもしれないけどいい映画でした。