映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

柴田剛 監督「おそいひと」1102本目

これミニシアターで予告編みてからずっと見たかった。
レンタルDVDになってて嬉しいです。

相当、強烈な映画です。主人公住田の存在感のインパクトがまずすごい。そしてライブハウスの音楽は必要以上に激しい。
「バリバラ」+ソウル・フラワー・ユニオンって感じ。と思ったら監督のプロフィールにボアダムズがいるから大阪に移住したって書いてあった。なるほど。
この素材で、ドキュメンタリーじゃなくてフィクションのドラマを撮ろうという気概を大いに買います。
ヨーロッパの映画祭でこれ見る人たち、どう思うんだろう?

難をいうと、セリフが聞き取りにくいので、もっと字幕を入れてほしかった。撮影がいまひとつ丁寧じゃない感じがするので、住田の気持ちの動きをもっと映像で見せてほしかった。監督自身が、企画の凄さに自分で驚いてしまっていて、もっとリアルにしつこく映画を作り上げようという粘りが足りない。住田は頭がいい人(という設定)だと思うので、もっと本気で、体が動かない分どうやって知恵で補えるのか、難しい数学の証明をするみたいに緻密に組みあげてほしかった。教科書的なところがあるけどバリバラの中で作られたドラマ「悪夢」のほうが面白さでは勝っていたと思いました。

でも、最後立ち尽くす住田、すごくカッコよかった。