映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

青山真治監督「サッドヴァケイション」1108本目

浅野忠信は、堕ちた男を演じることはできるけど、役所広司のような業の深さが出ない。
だからやっぱりユリイカのほうがよかったなぁ。

高良健吾は、底なしの善人も、どっかがとんがってる異常者も、同じように演じきるところがとても良いと思います。

石田えり板谷由夏はとても女性として魅力的だけど、なにかが母性のなせるワザだという印象は、私はなかったです。それをいうなら間宮のおやじにも変な父性はあるんだろうし。そして宮崎あおいは、自然に笑える大人になっていました。

音楽については、冒頭の情けない歌声はやっぱりジョニー・サンダースだったんだ。
日本語だったら、いま名前が浮かばないけど、あんなふうに歌う人は何人かいる気がするけど、英語で歌うあそこまで情けない人は他に知らない。この歌、とてつもなくダメで、なんともいえずいいなあ。
ムックリ」みたいな音楽はどういう作りなのかな。盛り上がりも盛り下がりも同じようにぼよん、ぼよんと鳴るところがなんとなく偉大なのでした。