映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

グザヴィエ・ドラン監督「胸騒ぎの恋人」1114本目

インパクトは「マイ・マザー」「トム・アット・ザ・ファーム」には敵わないけど、独特の美意識に満ちた作品でした。

愛する彼の母親を、「マイ・マザー」の母が演じてます。この映画ではアンドロイドのような、ドクター・スポッックの乳母のような服装をした女。
ダサい服装の女、というテーマを続けるのはどういうイメージなんだろう?恋敵の彼女は、普段はいい感じなのに、彼と会うときはオードリーもどきの古臭いドレスでイケてません。長々と文学作品のコピーを送ってみたり、完全に思春期です。

監督のテーマは”ときめき”なのかな。素敵な人がおかしくなっちゃうのが本気のときめき。片想いをする彼も彼女も、その人がいないところでは、憧れられる存在なのに。愛される存在なのに。そういう反作用がおかしいって思ったのかな。

”古臭さ”も隠しテーマ?昭和歌謡のような「バンバ〜ン♪」と、この歌が流れるときのスローモーションがCMソングみたいに脳裏にこびりつきます。

面白い監督だ。