スペインの「サン・セバスチャン映画祭」で上映される日本映画をかたっぱしから見るという企画、これでいったん最後です。フィナーレを飾るのにふさわしい力作でした。
知らない人はいない「あさま山荘事件」は、そこに至る前の時間のなかで行われてきたことのほうがすごかった。
近親憎悪という日本にはびこって決して治ることのない根深い病気が、仲間の処罰や処刑という形でここでも現れている。オウム真理教と同じだ。組織的暴力と同じだ。イデオロギーが何かなんて問題なんじゃない。不寛容と、当たりやすい相手に当たることが繰り返されてる。
20歳そこそこの若い子たちが何かに染まってしまって、こんな目も当てられない殺戮に巻き込まれていたというのは、どういうことなのか。どこかにこれを途中で止める方法はあったのか?
立てこもり中の息子たちに呼びかける親たちが、この映画のなかでは必ず「正しいことを貫こうとしたのはわかるけど」と半分は理解を示すのは、投降させるために共感を示しているということなんだろうけど、”当時少なからず因縁のあった”と描かれている若松監督自身の思いでもあるのかな。本当に今も昔も、正義のために戦うものたちは、体制派が後ずさるほどの説得力をどうしてもてないんだろう・・・。どうすればもてるんだろう。
永田洋子と森恒夫の強烈なカリスマには、私まで押されてしまいました。すごい役者さんたちだと思うけど、あんまり見ないなぁ?
音楽もよかった。若さを感じさせるエレキギターの音に、虚しさも混じって聞こえる。サウンドの作り方もグループサウンズのちょっと後の日本のロックっぽくて、時代感もありました。