映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

溝口健二監督「祇園の姉妹」1156本目

1936年作品。嬉しくなるくらい昔ですね。しかしセリフが聞き取りづらい。字幕が欲しい〜。

映画は、意外なくらいリズミカルなポップスで始まります。
でもその場面は倒産した店の備品の競売。
姉妹のうち姉は「梅吉」、妹は「おもちゃ」という源氏名。(おもちゃと名乗ってしまうところが、自虐的でもう嫌な予感)古風な名前の姉はいつも大きな日本髪と和装、ちゃきちゃきの洋装の妹はドライで計算高い

解説には「翻弄される姉妹」とあるけど、ただバカ正直に純粋に生きようとしているわけでもなく、妹おもちゃ(山田五十鈴、まだ19歳)は男どもを手練手管でうまくさばこうとします。むしろ、転がされる男たちのほうが気の毒に見えてくるくらい。彼女たちを下に見ていいようにもて遊ぶ男たちと、彼らを転がしてお金を絞り出させようとする女たち。。。でも、決して「お互い様」では終わらない。最後に割りを食うのは必ず芸妓のほう。昔っからのこういう関係性のなかで、今の日本の男女のありかたができてきちゃったんじゃないか・・・・。

正直、芸妓を黒人と置き換えたらどうだろうと考えてしまっていて、この差別っていったい何なんだろうという気がしてきました。日本やっぱりどうかしてるかも・・・。