映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

周防正行監督「終の信託」1157本目

草刈民代の演技にとてもリアリティがありました。
ただ、彼女自身の戸惑いが強すぎて、人の命を何十年も預かってきた医師という職業の人には見えにくい。
感情がゆらぎすぎて、医師としての判断の前に気持ちで操作を行ったと思われてもしょうがない。
その人のためを思って行った行為といっても、生かすためでなく行かせるための行為を、殺人でなく医療行為と呼んで欲しいんだろうか。そこはプロフェッショナルとして甘すぎる。本当の現場の医師は、ここまでの地位を得る前にもっと精神的に打たれ強くなってるはず、という気がします。
強い思いをもつ患者に対して行ったことを、他人が何と呼ぼうと。

全体的には、間が重くて長い映画だなと思いました。