映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イングマール・ベルイマン監督「ある結婚の風景」1166本目

1974年作品。
実に面白かった。
300分もあるけど実態は50分ドラマ6回分。出演者はわずかな部分を除いて夫婦二人だけ。
初々しい(といっても結婚10年目だけど)おしどり夫婦に破綻が生じて、その後さまざまな軋轢や苦悩や逃避の年月を経て再び・・・という、現実にあるようなストーリー。しかし深い。

すべての感情を抑えて勤め上げる結婚生活もあるだろう。日本的にはそれを美徳とすることが多い気がする。
一方この映画の夫婦は、抑えていたものに気づいて傷つけあい、さらけ出して、大人になってやっと本当の夫婦になっていくといった風です。
このやり方ができればそりゃあいいけど!

結婚は約束?共依存?世間体?・・・そこそこうまくいっている夫婦ほど、この映画を見て現実の自分を疑いたくなっちゃうんじゃないかと思います。