映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

想田和宏監督「選挙」1173本目

2007年といっても、もう8年も前かぁ。
小泉改革”という言葉の古さが、日本の政権の短さ、移り変わりの激しさを表しています。

「精神」が強烈だったので、この映画も楽しみにしてました。完全ドキュメンタリーということなので、まっさらな頭でリアルタイムに見てるつもりで見ました。

山下候補のポスターを見たとき、これじゃぁ当選は無理じゃない?と思ってしまった。
ちゅうとはんぱな笑い方。愛想はいいけどあんまり語ることがないように見える。・・・そういう、わりと表面的なことで候補者を決めるべきじゃないと頭では思いつつ。頭ではとか言いながら、見た目の印象で判断しようとしている自分にはっとしたりする。

でも、まだ映画のはじめの方で、山内候補が「当選すると思うんだけど」って普通に話してたのが衝撃。まったく無名の落下傘候補がどうしてそこまで強気。カラ元気?ではなくて小泉自民党の人気とか、前の人の穴埋めという「補欠選挙」の位置付けがそういうものだってたってことですね。奥さんは会社を休んで選挙戦に協力するといっても、ただ車に同乗してニコニコ手を振るだけ。余計なことを言うなと釘を刺すのは、そうしないと持論を語るほど主義主張をちゃんと語れる人だからなのか。変な世の中。もと大統領の妻が大統領選に出馬する国のほうが健全に思える。

選挙活動として行っているのは、老人運動会のラジオ体操やお神輿大会の参加。こういうことで、「彼は俺らの仲間だから応援するぜ」という空気を醸成していくのかな。
そもそも、皇室の人たちとかが国内のいろんな大会に出席するのもよくわからないと思ってたけど、いろんなことがこういうふうに形作られいるのかも。どこの国にもあることだと思うけど、表立ってこういうやり方をしてるのは、かなり古臭いなぁ。

こういう選挙選で答を出せるのは、確実に投票に行く層がかっちり固まってるからでしょうか。問題意識を持って選挙に行く若い人もたくさんいると思うけど、票が割れるんだろうな。・・・なんとなく、暗澹たる気持ちになりました。