映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

黒沢清監督「CURE」1227本目

1997年、19年も前の作品なのか。
どうりで役所広司も若い。でんでんの髪も黒い。中川杏奈はびっくりするくらい綺麗だ。
萩原聖人は、最近出演作品を見てないので、昔のままだ。

ミステリアスなドラマを見ることはますます増えてるし(テレビでも映画でも)、昔のDVDよりもずっと精緻な美術効果の映画がたくさんある。最近の作品のほうが本質的に劣っているということはもちろんないので、見た目が地味なこの作品のことで、特筆すべき点を見つけるのが難しい。でも、この映画にはなんというかスピリットがあって、昔の催眠術なんていう魔術的なトリックを使っていても、どこか今も見る人の気持ちに来るものがある。
それは、人の心の弱さを見抜く黒い何か(=悪?)の存在や、それによって心の中の毒を放出することで人が癒されるという、普遍的
な秘密が芯にあるってことなんじゃないかな、と思います。