映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ラリー・チャールズ 監督「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」1369本目

サシャ・バロン・コーエンが他の映画ではやりたいことがやれずに暴れたという話を聞いてたので、じゃあやりたい放題やるとどうなるのか?ということで見てみました。

アメリカ文化学習って映画のはずなのに、最初の電車のアナウンスがイギリス式の「Mind the gap」なのでアレレ?ホテルのフロントで追い出されるあたりもイギリスっぽいな・・・でもアメリカで撮った場面がほとんどかな。多分、ボラットが知られていない非ヨーロッパの国で撮らないと面白くなかったんでしょうね。

彼自身がユダヤ教徒ユダヤ系ということで、「ユダヤ人撲滅祭り」なんかはまさにブラックユーモアだと思うけど、幼児なみの下ネタを下品とすることに挑戦したり、障害者や黒人を”平等に扱う”ことを笑う笑いなんだよな。
マナー教室の場面とかは、私自身が(お高くとまってるな〜)って思ってるので、そこでの狼藉はちょっと笑えたりするけど、(こ、これは笑えない・・・)と思う部分は、自分の差別意識?好き嫌いかもしれないけど、そういうのが表に出てきちゃうのかもしれませんね。

カザフスタンって、中央アジアの中でも特に田舎ってイメージなのかな。ウズベキスタンは東北で言えば仙台、カザフスタンは広くて砂漠がちってことは岩手か秋田かしら。ほんのちょっと都会っぽいところに住んでる人たちがからかいたくなるロケーションなんですかね。カザフスタンのわたしのイメージは、美しい瞳と荒れた髪をした砂漠の民で、アメリカの俗っぽさなんかにはまったく興味なさそうな感じですが。

裸でホテルで暴れまわるところは、単純に大笑いしてしまった・・・幼児なみですみません・・・。
パメラ・アンダーソンってどんな人だっけ?と思ってググったら、かなり不自然なダイナマイトボディで驚きました。この人の感覚ってエロいおっさんなんじゃないかしら。

下品なコメディの中では、ピンク・フラミンゴよりずっと受容可能だし、たまにはこういう映画を作る人がいてもいいんじゃないでしょうか。モンティパイソンを生んだ英国ならではのキャラクターでした。