映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スティーブン・スピルバーグ監督「カラーパープル」1370本目

<ネタばれあり>
スピルバーグが社会派作品を作り始めたのが、この作品と言われてるんだそうで。
重いテーマなのでちょっと緊張して見ましたが、明るさの感じられる作品でした。
エンタメ系といっていいんじゃないかと思うくらい、わかりやすく、最後は明るい希望でいっぱいになります。
2時間半という時間が長く感じられません。
しかし、ほとんど黒人しか出てこない映画なのに、あえてスピルバーグに監督させたのは、白人にとって見やすい仕上がりにして、世界中の人たちに見てもらうことが、結局のところこの映画の目的だからかな?
なんというか、ブルージーな黒さがない。ユーモアの感覚や語り口調に重たいソウルが感じられなくて、ディズニー作品みたいなおとぎ話感がある。そこが狙いなのかもしれない。

肌の色と関係なく、生活に余裕のない男たちと、抵抗する力を持たない女たちの間には、目をそむけたくなるようなことが長年起こってきたんだろうか。それはつまり、今もそういう状況にある人たちは、このような仕打ちに耐え続けているかもしれないっていうこと。逆に自分たちは、小さいことだと思って声を上げずに黙って耐えたことはなかったか?

シャグという、夫の愛人であり自立した女性に、ほとんど恋をするように惹かれてついていく、主人公セリー。この設定も当然議論の標的になると思うけど、この主人公は本当に非力な状況にあったから、彼女に初めても光を見つけてしまったってことなのかな。

ところで、映画を見てもわからなかったんだけど、カラーパープルって何の色?