映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ラース・フォン・トリアー 「メランコリア」1392本目

いやー、これは面白かった。
DVDの予告編がホラー映画ばっかりだし、ほかの人の感想を見たら「鬱になりそう」とかばっかりだったので、かなり心配してたけど、正気と狂気のあいだの、正気に近いほうの人が、すこし暗い夢をみているような、不思議で美しい世界でした。

キルスティン・ダンストの危なっかしい感じもいいけど、シャーロット・ゲンズブールはこの映画ではマトモすぎてちょっと物足りないかな。この人は、惑星衝突なんかで泣きわめくようなキャラじゃないわ!シャーロット・ランプリングのほうは、偏屈でステキです。

惑星衝突!というと日本だと科学技術パニック映画になりそうだし、みんなで力を合わせて辛くも回避!という結末しかありえないと思うけど(「フィッシュストーリー」参照)、こういう「ただ待つだけ」という選択は、ヨーロッパ的憂鬱さが感じられて面白いです。

最後の時を誰とどんな風に迎えるか?ってお題はよく見るのに、こういう解を見ると意外に思うのかな。という反応もまた面白かった。
メランコリア [DVD]