映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

東陽一監督「だれかの木琴」1394本目

試写会に当たって見てきました。
夫に愛されて恵まれている専業主婦の常盤貴子が、ふと入った美容室の若い美容師をへんなふうに追っかけてしまって、ストーカーめいた行動にはしってしまう、というお話。
優しいストーカー(といえるかどうかわからないけど)の気持ちを包みこむ、不思議な映画でした。

徹頭徹尾、常盤貴子は美しくて優しくて穏やかなんだ。声を荒げることも、マイペースを崩すこともない。恋に恋する10歳くらいの少女みたい。じっさい、そういう心境ということなのかも。

どんな人にもそういう瞬間がありうる。という優しいまなざし。常盤貴子だからいいんだ、ではなくて、彼女を使うことで共感しやすくしたんだと思う。一度追われた美容師のほうは、つきあっていた彼女が激高して関係破たんしてしまうし、コンビニでストーカーのときの彼女のおもかげを見て戦慄してしまったりする。誰かが誰かを傷つけてるのが、人間どうしの関係で、できればあまり深手を負わせず、負った傷をいやしあっていけたらいい・・・そんな映画なのかなと思いました。