映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ゴードン・パークス 監督「黒いジャガー」1449本目

1971年の作品。いいなぁ、この70年代感!
原題は、主人公の名前「シャフト」だけど邦題は「黒いジャガー」。ジャガーっていつ出てくるんだろ?
いちいち「黒い」ってつけるところが、その頃の日本での感覚を表してますね…。

この映画は、音楽の本を見てた時に、ブラック・エクスプロイテイション・ムービーの代表格!って載ってて、いつか見よう!と思ってました。

しかしこれは・・・70年代のハリウッド映画のパロディみたいだ。シャフト=ボギー?
白人の男たちのようにバーに集い、白人のように振るまうが、白人よりクールでスマートで、白人の男たちを出し抜く。。白人の女に言い寄られて軽く遊んで、「最高」とか言われる。決して彼女は「黒人ってどうなのか試してみたかったのよ」とか言わない。珍しさや好奇心ではなく、白人よりクールな彼に惹かれたのだ。

ある程度の地位を得たときに、最初にやりたかったことが、これだったのかな。
白人のようにして、彼らの土俵で戦って圧勝して、目に物言わせてやりたい、みたいな感じ。
そう考えると、いちいち「海外から見た日本はクール!」などと、人の物差しでしか自分たちの価値に自信が持てない本邦のえらい人たちは、この映画のなかの黒人たちに近いのかもしれない。アフリカン・アメリカンたちはとっくに、ハリウッド映画のまねごとなんかやめてストリートで、誰にも似ていない自分たちの音楽やスポーツを、堂々と美しく楽しんでる。私たちはうんと遅れてる気がするし、世界的にはさらに”虐げられてる”私たち女性は一度、女ばっかりの刑事ドラマとか任侠映画とか作ってみれば、スカッとして次のレベルに進める・・・のか??


黒いジャガー [DVD]

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